11/7ブログ 須賀川市民の『地震日記』

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     先日、郡山の呉服屋の親父から画像つきの「福島県須賀川市に住む友人の地震日記」が送られてきました。
    おもしろいので、転載します。そういえば、私も『ゴジラ』は見ていませんでした。(音次郎)

    以下転載

    写真は、映画『ゴジラ』のワンシーン ガイガーカウンターを向けられる子供達

     




    11月3日(木)

     

    ゴジラ

     本日、11月3日は、昭和29年に東宝映画「ゴジラ」が封切られた日である。この映画により私の地元、須賀川市出身の円谷英二は特殊技術のエキスパートとして大いに認められ、以降、多くの特撮映画に携わっていく。

     そんなこともあり、改めて「ゴジラ」を見直してみた。昭和29年には第五福竜丸事件があり、現在同様、世界が放射能に怯えた年であった。第五福竜丸も流言飛語が飛び交い、関連した人々は今日のように風評被害に悩まされた。「放射能マグロ」は、地中に捨てられた。「放射能」は恐怖の対象であったが、その実態はまだまだ知られておらず、かえって空想がふくらみ、同様なSF作品もこの時代には多く作られた。

     「ゴジラ」のストーリーは、太平洋で原因不明の海難事故が続発する。原因は原水爆実験により、太古の眠りを覚まされた巨大怪獣であることがわかる。「ゴジラ」と命名されたこの古代生物は、放射能によって全身がケロイド状になり、口から放射能火炎を噴き出す怪物へと変身、首都、東京を蹂躙する。すさまじい被害と多くの犠牲者が出た大東京、しかし、若き科学者、芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーという水爆をも超える超兵器を発明していた。博士はゴジラの棲む海底へと突入し、自らを犠牲にしてゴジラを葬り去り、同時に人類のため、オキシジェン・デストロイヤーをも永遠の秘密とするのだった、というもの。

     改めて見直すと、一般にゴジラの暴れる姿に注目が集まるが、日本最初の怪獣映画はこの時代の風刺をたくさん織り交ぜ、政治や行政への批判も多い。ゴジラ出現の島に行き、放射能が検出された井戸は使用を禁止するなど、リアリティーあふれる演出は現在の我々を思わせる。国会で与野党の不毛な論争に眉をひそめる人々、「また疎開か、いやだなあ」などという庶民の姿も丁寧に映し出されている。この時代の疎開は9年前の太平洋戦争のことだが、放射性物質のため移動を余儀なくされる福島県民にも重なる現実だ。そして、多くのけが人を収容する避難所の光景も、私たちがつい先日までみていたものである。

     放射能に関する問題も、少女に向けるとガイガーカウンターが鳴る残酷な場面も見られ、志村喬扮する山根博士が国会で説明する場面では、ストロンチウム90という言葉も発せられる。

     この映画は若い博士の犠牲的精神により、ゴジラも滅びる。ラストシーンではその博士への黙祷で終了する悲しい場面となるが、作品は特撮場面だけが大受けし、以降、特撮のスペクタクルが強調された作品が継続して製作されるようになる。

     だが、やはり放射能は恐るべきものだ。特撮シーンの大成功により、作品の主張そのものが忘れ去られたのは全く残念である。須賀川出身の円谷英二特撮監督は、放射性物質という問題を抱えた自分の故郷を、あの世でどのように考えているだろうか?          
                      須賀川市民のS


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