4/20 物語 ボクは原発君!第4章 バクハツしたボク

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    しばらくぶりですが、ボクは原発君!を公開します。

     月6日の第1章『僕は生れた』
    3月7日の第二章『僕のウンチ』,
    3月15日の第3章『そして、その日が来た』の続きです。


    物語 ボクは原発君!第4章 バクハツしたボク

     ピー君は「落ち着いたみたいだね。」と言ってくれた。確かに、外からは、もう何も起こらないような感じだった。僕が「ピー君、僕から逃げてくれ。嫌なことが起こりそうなんだ。」 と必死にお願いしても、「大丈夫。もう何も起こらないよ」と、又歌って励まそうとしてくれた。その瞬間だった。『ド、ドーン』という大きな音と共に、僕の頭が吹っ飛んだ。なんで爆発したのかボクにもわからなかった。一瞬だった。コンクリートや鉄くずと一緒に、僕の中のものも、大空に飛び散った。おじさんたちの悲鳴や、怒鳴り声が響いた。ボクはピー君の姿を捜した。「ピー君、ピー君」と大声で呼んだ。ピー君の姿はどこにもなかったんだ。
      ショックだった。こんなことが起こるなんて、考えたこともなかった。最先端の科学技術を結集して作られていると自分でも思っていたし、おじさんたちも、大切にしてくれていた。それが、こんなにあっけなく、乱暴に、全てをぶち壊してしまうなんて信じられなかった。


     僕が呆然と、震えながら立っていると、ピー君が戻って来たんだ。爆風に飛ばされたけど、ほこりまみれになりながら、戻ってきてくれた。「ピー君生きてたんだね」と僕が言うと「大変だ。冷やすために海水を入れるって言ってるよ」とピー君が言った。「海水なんか入れたら、僕は働けなくなるじゃないか。やめてくれ。それはやめてくれ。そんなことしないでくれー」とボクは泣きながら叫んだ。でも、そんなこと言ってる場合じゃなかった。僕の燃料は冷やさなければ、もっと大きな爆発を起こすんだ。

    それからは、海からくんできた水を頭からかけられたり、建物の壊れたすきまから、消防隊のホースで水をかけられたりした。まるで、ボクは町の中で暴れまくる怪獣と思われているようだった。今までボクのことを大切に守ってくれていたおじさん達が体がぐちゃぐちゃになったボクに、鬼のような顔で立ち向かってくるんだ。それがボクにはとても恐ろしく、悲しかった。


     ピー君は放水の合間をぬって、ボクを励ましに来てくれる。「もう来なくていい。近くに寄るのはあぶないよ。みんなも逃げたじゃないか」と叫んだ。でも「あんなに大事にしてた、牛君や馬君や犬君を置いていったんだもん。きっとみんなすぐ戻ってくるつもりさ」とピー君は動こうとしなかった。ボクにはもうできることは何もなかった。ただ、黙って、もうひとつの大爆発におびえながら、冷たい水を浴び続けるしかなかった。自分がどうなったらいいのかもわからなくなっていた。只、黙って隣で歌を唄ってくれるピー君の声を震えながら聞いているしかなかった。


      何日か経った夜に、突然ピー君が、うめき声をあげた。見ると、食べたものを口から出していた。この数日、ピー君が弱っていたのは気付いていたけど、心配する心の余裕はなかったんだ。それからは、ピー君はどんどんやせて、鼻や口からも血が出てきた。それが、爆発によるショックからきたものではないことは、ボクにもわかった。

     「ピー君。やっぱり僕の近くにいてはダメなんだよ。ボクは危険なんだ。早く逃げてくれ。」と言いながら、ピー君にもうその元気がないことも知ってた。「ごめんね。僕のせいで、僕のせいでこんなことになってしまったんだ。ごめんね。何もしてあげられないよ。ごめんね。ごめんね。」と言いながら泣くことしか僕にはできなかったんだ。
     ピー君は「大丈夫。大丈夫。ボクは知ってるよ。君が悪いわけじゃない。君は、40年以上頑張って、みんなのために電気を作ってきたんだよ。知っているよ。僕は、長かった旅の生活がここで終るだけの話さ。君と会えて楽しかったよ。君の事は忘れない。君は又元気になって電気 を作ってくれよ」と言いながら、目を閉じた。ピー君はそれっきり全く動かなくなった。

     僕の周りでは、たくさんのおじさんたちが、怖い顔や、おびえた顔、悲しい顔をしながら動き回っていた。みんなどうしていいかわからないながらも、一生懸命どうにかしようと戦っているみたいだった。ボクも一緒に戦いたかったけど、戦っているその相手は、ボクなんだ。
     涙でゆがむピー君の姿を茫然と見ながら、「そうだ。電気だ。電気だ。電気を作らなくっちゃ。僕がいなかったら電気がなくなるんだ。電気だ。電気だ。大変だよ。電気がなくなっちゃうよ。みんなで電気を作るんだよ。タービン建屋君、送電線君、変圧器君。ほらっ、みんなで電気を作るんだ。起きてくれよ。電気を作るんだよー。電気。電気。電気だよー」と泣きながら叫び続けた。 
     

     


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