北極冒険家の荻田泰永さんに見解

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    先日紹介した『地球は寒冷化している』というブログ記事について、北極冒険家の荻田泰永さんに見解を聞きました。

    そのやりとりも含め、ここで紹介します。

    おとじろうの質問
    この話については、どう思う。http://saigaijyouhou.com/blog-entry-844.html
    地球は寒冷化に突入した!北極の氷がこの1年間で60%も増加!寒冷化は15年間続く可能性!世界は再びマウンダー極小期の時代へ

    荻田泰永さんの回答
    このブログの内容は、典型的な「無知な人を誘導するためのむちゃくちゃな理論展開」をする、読むに値しない記事です。

    おとじろうの質問
    北極の氷が増加しているという資料じたいが間違いということなのでしょうか?

    荻田泰永さんの回答
    まず第一に、この手の記事で「増加した」という表現をしている人は100%作為的な記事しか書きません。つまりは、温暖化なんて嘘である、という記事です。
    「増加」という表現にポイントがあって、現に氷が増加した様に見えます。確かに増加と言えばそうなんですが、あくまでも「夏の海氷減少がそれほどでもなかった」という結果として、前年よりも氷が溶け残った、というだけのことです。

    北極の海氷は夏は減少します。夏になって氷が溶けます。海の表面が凍るだけの「海氷」なので、年間での面積変化が著しいのです。冬の面積は1400万㎢程度、夏には500万㎢程度にまで減少します。

    9月中旬頃まで溶けていって、それ以降冬に向かっていって再び海が凍結します。そして面積が拡大していきます。3月中に最大の面積を記録して、4月以降再び海氷の減少が進みます。添付の曲線のグラフの通りです。

    自然というのは、ある程度の幅を持って変化をしていきます。画一的に海氷減少が毎年確実に同じペースで起こるわけではなく、気圧配置や日照時間や色々な要 因によって、年によってなかなか夏の減少が進まない年もあれば、氷をバラバラに分断して北極海の外に押し出してしまうような強風が吹き続ける年もあったり します。

    この手の温暖化の記事でいう「増加」という表現は、0が100になれば誰の目にも増加ですが、100がいつもは10まで減少するところが、20までの減少で終わった、前年は10で今年は20だから、50%増加した、という表現な訳です。

    50%も増加したんだから、温暖化は嘘であり、寒くなったから氷が増加したにちがいないというわけです。

    単年の変化だけを取り上げて、それがさも全体(長年にわたる)の変化であるかの様に見せているのもよくやる手です。

    この記事に添付されている北極海の写真は2012年8月27日と2013年8月15日です。なぜそこを比べるのかも疑問です。記事の内容に大勢を与えるほ どではないですが、二つの年を比較するのであれば、例えば同じ日付の写真を並べるとか、双方の年の海氷面積が最小になった日を比べるというのが科学的な比 較だと思うのですが、なんでもない、意味の分からない日付で比較している意図がよくわかりません。


    80年代 最小平均 722万㎢
    90年代 最小平均 654万㎢
    2000年代最小平均 547万㎢
    2002年 最小  551万㎢
    2003年 最小  594万㎢
    2004年 最小  568万㎢
    2005年 最小  517万㎢
    2006年 最小  562万㎢
    2007年 最小  406万㎢
    2008年 最小  450万㎢
    2009年 最小  505万㎢
    2010年 最小  462万㎢
    2011年 最小  426万㎢
    2012年 最小  317万㎢
    2013年 最小  480万㎢
    2014年 最小  488万㎢

    海氷減少で、近年最大のインパクトがあった年は2007年でした。
    その年に、それまでの過去最小記録を一気に更新しました。そこで世界中で大騒ぎになりました。そのなかで、例のブログ内にあるBBCの報道で2013年に海氷が消えるという記事が2007年にされたんです。
    温暖化論推進者たちは、これで地球の危機だと煽りました。でも、その後は2007年よりも減少する年がなかなか現れません。別に地球の温暖化がストップしたわけではなくて、たまたま気圧配置や自然の現象として氷が減らなかっただけです。増加したわけではありません。
    そこにきて、2012年に二度目のインパクトが来ました。
    317万㎢という、過去例を見ないほどの海氷減少が起きたのです。その年の夏、北極海上には強力な勢力を持つ低気圧が長期間居座り、強風によって北極海はかき回され、氷がバラバラに分断され、押し流され、氷が異常なまでに減少しました。
    これで世界中で大ニュースになります。これで北極海から氷が消え去るフィードバックが加速する、となります。北極海から海氷が消えるのは目の前だと煽ります。
    翌2013年、海氷面積は480万㎢までの減少で留まります。317万から480万になったことを、温暖化懐疑論者たちは「氷が60%も増加したから寒冷化だ!」と騒ぎ始めます。
    「増加」だと言うのであれば、前年よりも最小面積が多い年はいくらでもあるのです。今年だって、去年よりも8万㎢増加しているということになります。でもそれは、増加ではなくて、去年ほど減少しなかった、というだけのことです。

    それから、氷が増加したから寒冷化の証拠だと言いますが、北極の海氷は寒いから凍る、暖かいから溶ける、なんて単純なものではありません。自然はもっと複雑怪奇であり、ありとあらゆる現象が絡み合って微妙なバランスの上で結果として凍ったり溶けたりします。
    夏になぜ氷が減少するか?暖かくなったから、だけではなくて、海氷が最も影響を受けるのは風です。気温が1度上昇するよりも、平均風速が1m増す方がイン パクトは絶大でしょう。風で流れて、お互いにぶつかり合って砕けて、小さくなって、溶けやすくなる。流動的になる、更にぶつかり合う、更に砕ける、という ことを繰り返します。そうやって海氷が夏に減少していきます。そのときに日射量、風、気温、海の塩分濃度、人間がまだ理解できていない作用、などなど…に よって氷がどのように動くかが決まります。
    凍るときも同じです、風が強すぎたりすると、寒くてもなかなか凍りません。
     崛加」という表現に惑わされない
    ■横娃隠嫁の過去最小面積と、2013年の過去最小面積を比較すると、60%程度の差はある
    K牟砲粒ど垢牢┐いら凍る、暖かいから溶ける、という単純なものではない
    い海離屮蹈阿竜事は、全体を通しては嘘を書いている訳ではない。嘘は書かないけど、本当のことも書いていない
    ッ狼紊寒冷化に向かう可能性は充分にあるとは個人的に思う
    Ω住点では、ここ数十年間の単位で見れば北極は温暖化傾向にあることは間違いない

    おとじろうの質問
    大変丁寧な説明ありがとうございました。北極海の氷と気候の関係、そして、その評価に関することで、ここまでわかりやすい話は初めてです。ブログとfacebookに紹介しても良いでしょうか。

    荻田泰永さんの回答
    全然構いません。でも、もっと分かりやすく説明はできるんですが、地図とかそれこそ海底地形図とか、そういうのを見せながら北極海の海流や気圧配置を一緒に説明できれば、メカニズムが理解できるんですが。文章だけだと限界ありますね
    あと、CO2排出権取引がうさん臭いから温暖化論もうさん臭いと言うのは、まさに坊主憎けりゃ袈裟まで、という話しですね。そこは別です
    こういう資料も存在はしますので、参考までに。
    地球温暖化懐疑論批判.pdf

    おとじろうの感想と質問
    丁寧な解説ありがとうございました。まだ、説明したりないとは思いますが、北極の氷が増えたり減ったりすること、それが、季節や、その時の気候や自然条件 で左右されることがイメージできました。そして、その増減で「温暖化」「寒冷化」と一喜一憂することのおかしさも感じられました。とりあえず、そこが伝わ ればよいかと思います。『温暖化』には、本当にいろんな説があり、何が正しいのかは、わかりません。私達には計り知れない自然のダイナミズムによって地球 が「寒冷期」「温暖期」を繰り返してきたことも確かだし、人間が地球の環境になにがしかの影響を与えるほどの活動をしていることも確かで、そのことを都合 の良いように利用しているのも確かです。騙されないように、いろいろ知っておきたいと思います。ちなみに、素朴な疑問ですが、海水は基本的に凍らないと思 うのですが、北極海の氷は、何が凍っていると考えると良いのでしょうか?

    荻田泰永さんの回答
    海水も凍りますよ。淡水は0度で凍りますが、海水は塩分が含まれていることでマイナス1.7〜1.8度くらいで凍ります。
    昔に比べれば、いまは海氷面積も縮小してますが、もっと問題なのは厚みだと思います。夏場に溶けてしまうということは、そこから冬に向けて凍っても厚みが 増しません。昔は何年も溶け残って北極海を回遊していた氷が多かったので、全体的に厚かったわけです。なので、なかなか夏でも溶け切らなかったし、厚みが あると安定するので流動性も低かった。いまは厚みも失われているので、流動的になってさらに溶けやすくなっている。

    おとじろうのお礼
    なるほど、厚みは死活問題ですよね。やっぱ体感するというのはすごい事です。勉強になりました。遅くまで付き合ってくれてありがとー。

    荻田泰永さんの回答
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