8/10ブログ 物語 ボクは原発君 第2章

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     北海道の泊原発の3号機が営業運転へ向けての具体的手続きに入りました。福島の事故が起こる前と何も変わらない手続きと手法で「法律どおり」事が進みます。そこには、国民や住民の何の議論もありません。高橋はるみ知事は、「地元軽視だ」と不快感を表明しましたが、多分それだけです。「国が決めること」とずっと逃げておきながら、いざ国が決めると「手続きが地元軽視だ」と反発することで、批判をかわします。
     道により計画されていた泊原発に関する地元のアンケート調査が3号機の営業運転移行への妨げになるという理由で延期されたと新聞の1面をかざったのは1週間ほど前のことです。福島原発の事故が起きてから、問題としてクローズアップした電力会社と国と地方自治体の今までのやりかたは、何も変わっていません。 
     同じ様な状況で営業運転に向けて動いていた福井県の大飯原発は緊急炉心冷却装置(ECCS)系統の故障で手動停止し、そのまま停まっています。人間の意志とは別の事故やトラブルでしか、事態は変えられず。手法や考え方は、何も変わらない。
     そのことにむなしさと悔しさを感じます。こうやって、だんだんに起こっている事態と手法に、みんな慣れて元通りになってゆくのでしょうか。怖いです。


      今日は、ボクは原発君 第2章です。

     第一章は、ここをクリック 第一章 ボクは生まれた

    物語 ボクは原発君  作 松下音次郎   

    第2章 ボクのウンチ

     渡り鳥のピー君は、相変わらず遊びに来てくれていた。いろんなところでいろんな話を聞いてたらしく、僕のおなかの中のもののことも知ってたみたいだけど、だまっててくれた。そのことを聞くと、僕が暗くなるのを知ってたからね。ピー君は僕を励ますつもりで「もう、日本では、原発君の仲間が50人以上いるんだよ」って教えてくれた。僕は嬉しいというより、実は、すごいびっくりしたんだ。

    僕はもう40歳を過ぎていた。生まれた時に、「これから40年働いてもらうからね」って言われてたけど、40年経ってみると「後、20年くらいは働けるよね。40年で廃炉にするなんてもったいないからね。頑張ってくれよ」って、おじさんに言われたんだ。「まだ働けるんだ」って嬉しかった。廃炉って言葉も恐ろしかったし・・・・。けど、僕は実は心配になってきていたんだ。だって、一生懸命頑張ってきていたけど、結構無理もしてたんだ。 僕は、一度動き出すと、停めるのも、動かすのも簡単ではない。だから、一度動かすと次のお休みまで、24時間、1年間くらいずっと働き続けなければならないんだ。その間にもいろんなことがあった。ピンが壊れてお腹の力が大きくなったり、燃料を冷やすものが変になったり、調整する棒が抜けてしまったり、いろんなところでビービー鳴った。仕事をしているおじさん達が大騒ぎしていた。そして、そういうことがあったことはみんなに内緒にしたかったみたい。それがばれて、ボクが働けない時期もあった。でもね、お腹の中のものは絶対出さなかったと思う。きっと・・・ね。だって、ボクはいつも必死に頑張っていたんだよ。

     ピー君は、この町の人達のことも教えてくれた。「原発君がいなければこの町の人達が困るんだよ」と言ってくれた。でも、それは、「僕がいなければ、生活ができなくなっちゃった」と聞こえた。だって、この町の人達がなんとなく変わってきてることは感じてたんだ。立派な建物はできたけど、そのために、もっと、もっとお金が必要になったり、僕を利用してお金をもうけるようとしている人もいたし、電気を作るのと関係ない「お金」にふりまわされてる気がしたんだ。「もうお金もらっちゃってるから」という言葉や、「原発があるから、大きくなってら、帰って来たくない」って言う子どもがいるって話を聞いた時には、僕ってそんなに嫌われてるんだろうかって、悲しかったし、不安にもなってきた。

    本当に不安になって、しつこく聞くと、ピー君はボクの作り出す「怖いもの」のことも教えてくれるようになった。それは、前にもヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリといったところでばらまかれ、それが原因で、死んだり、病気で苦しんだりした人がいっぱいいたこと。それは、においも色もないので、どこにどれくらいあるかわからないし、なんの罪のない人達が、知らない間にその被害に苦しむこと。

     そして、僕が一番驚いたのは、僕のウンチの話。僕が生まれた時、僕のことを「トイレのないマンション」と呼んでいた人がいたんだ。燃えた後の燃料のことをウンチに例えて、そのウンチの行き先がまだちゃんと決まっていないということなんだ。ウンチはお腹からでた後も、すごい熱いし、爆発する可能性があるから、僕のすぐ横の水のプールで冷やしていたんだ。人間のウンチは、土に埋めて、栄養になって、そこから野菜がとれたりするけど、僕のウンチは、何一つ役に立たない。というより、何十年、何万年も、誰も近寄っちゃいけないほど危険らしいんだ。自分のウンチが、何千年も、何万年も先の人達の迷惑になるなんて、そんなの絶対いやだ。

     ウンチがたまってゆくから、うんちから燃料を作って、それを又燃やす『夢のエネルギー』を考えた人がいるんだけど、できるようになるまでには、まだ40年以上かかるし、うんちから燃料を作ること自体が危険で、そこでも「怖いもの」がいっぱいできちゃっうし、それがうまくいくかどうかもわからないんだ。そして、僕のウンチは、とりあえず置いてある場所も一杯になってきてるんだ。一度だけ、おじさんに「ボクのウンチは大丈夫」って聞いてみた。そしたら、「大丈夫。なんとかなるから。原発君が考えなくてもいいよ」って言われちゃった。僕は50人以上の仲間がいるってことを思い出してた。50人分のウンチ全部の行き先が決まっていないことは想像するだけで怖いと思った。

      僕は、どうしていいかわからなくなって、とにかく一生懸命働くことにした。誰が、なんと言おうと電気を作るのが僕の仕事だし、それでみんな喜んでくれてる。そのことだけを考えよう。僕の仕事は電気を作る事、それだけを一生懸命頑張ろう。と気持ちを切り替えて、元気になりだしたそんな時だった。あの恐ろしい出来事が始まったのは・・・・・。








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