これでいいんだ
ぴっぱら通信NO275号より転載
ジュンキ記
これでいいんだ
... 桑の実がうれしい季節。みんな夢中で手を伸ばす。一粒とって頬張れば、甘くてやさしい味が口の中いっぱいに広がる。誰もが心おだやかになれる瞬間。僕も桑の実は大好きだけれど、初めて食べたのは、実はぴっぱらに来てからのことだった。ここの子たちには、こんな素敵なひとときが、すでに日常としてある。自然がくれたささやかな贈り物。今日もたくさんもらったね。
世の中のことを考えると、あまりにも重たい社会の問題だらけで、気がめいりそうになる。国の強引な取り決めで、日本が戦争に巻き込まれるような危機も、もはや冗談では済まされなくなってきている。なんとしても喰い止めたい思いと、言いようのない不安が、今、僕の中にある。
そんな僕の胸に、桑の実で口の周りをぐずぐずによごしたRがとび込んでくる。Nが満面の笑みを浮かべている。NKはゆみこちゃんの腕の中で、満足そうに身を委ねている。それが、どれほど自分を慰め、勇気づけてくれることだろう。だれも人を悪く想わない。責め立てない。あふれるほどのぬくもりに包まれる中で、みんなおもいっきり笑って泣いて、紡がれていく一日、一日。これでいいんだ。光はもう今、ここにあるんだ。そして、この日々を守らなくてはいけない。守っていこう。つくっていこう。こんなふうにして、みんないっしょに桑の実を頬張っていられるような日々が、いつまでもつづきますように
- 2015.07.21 Tuesday
- もりのよちえん ぴっぱら
- 21:48
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